PB090400
※このページから入ってきた方は、まずは前編をご覧ください。

この提督の決断Ⅳにさらなる充実、バランス調整を施したのが、2年を経て発売されたパワーアップキット(PK)です。
まず、無印版ではまさに強靭!無敵!最強!!を誇っていた潜水艦に対してさまざまな対策(新兵器の投入やシステムの変更)が入りました。
提督の決断Ⅳにおける潜水艦は
・航空機による攻撃を受けないし発見もされない
・対潜装備(爆雷)を持つ艦(駆逐艦・軽巡洋艦)でしか攻撃できない
・ 当然爆雷より魚雷の方が射程ははるかに長い
などの要因により、一発では沈まない程度の耐久力と大量の魚雷を装備した潜水艦が、どんな強大な戦艦や空母をも軽く凌駕する最強の艦であり、またマップ端の数か所に潜水艦を待機させておくだけで防衛もほぼ完璧という滅茶苦茶な存在でしたが、流石にPKでは対策が入りました。具体的には
・新兵器「対潜レーダー 」の登場(搭載できるのは飛行艇(飛行場のみに配備できる大型の航空機)のみですが)
・海戦の防衛側の勝利条件が「開始から3日後に飛行機・『艦船』が残っている 」から「開始から3日後に飛行機・『水上艦』が残っている」に変更
(防衛線における潜水艦による引きこもり作戦が禁じ手に)
 ・潜水艦の究極兵器「追尾魚雷」を無効化する新技術「デコイ」の登場(これの影響受けるのは魚雷を装備できる全ての艦ですが)
などなど・・・

このように、潜水艦対策が重点的に入りましたが、前編の最後で書いた「魚雷ガン積みの潜水艦軍団による通り魔的殲滅作戦」は相変わらず有効です。特に「坊の岬沖海戦(いわゆる「大和特攻」)」シナリオで日本で勝利を掴みたいという時には、潜水艦を用いて敵を漸減していくのは必須テクニックともいえるでしょう(この場合引きこもり作戦が使えなくなったのは超痛いですが)。
また、目を引くのは、これまでの航空機にのしかかっていた行動の制約を取り払う新技術です。
・夜間戦闘機(読んで字のごとく、夜も行動可能な航空機を開発できるように)
・全天候戦闘機(全天候といいつつ嵐のときは行動不可能) 
ついでに
・ステルス(オーバーテクノロジー乙)
このように、航空機による圧倒的攻撃力を持つ一方で夜襲をかけられたり雨に降られたりすると手も足も出せない存在だった空母が、ほとんど時を選ばないトンデモな代物になっていますw
もっとも、CPUは架空の航空機を開発してはきませんし、既存の航空機は、夜間戦闘可能なのは一部の新鋭機のみ、全天候戦闘可能なのはほとんどいないので安心していいです。

さらに、オーバーテクノロジーはステルスだけにとどまりません。
・アングルドデッキ(実用化は50年代)
はまだいいとして
・CIWS(実用化は米では70年代以降)
・ECMポッド(在日米軍に配備されたのは87年)
この辺はもう「自重しろ」と声を大にして叫びたいですw

あと、ささやかながら「陸上戦」らしき概念が追加されています。
「揚陸艦」という艦が登場し、飛行場に近づいた後、この艦のみが実行できる「上陸」というコマンドを実行すると、陸戦部隊が飛行場へ突撃していき、攻撃・占領してくれるという代物です。
最も、万全の状態の飛行場に1部隊だけ突っ込ませても返り討ちにあうだけです(ガダルカナル戦における一木支隊のようなもの)。集団としての活用、艦砲射撃などによる支援が欠かせないものだということはお忘れなく。
これの利点は「飛行場を破壊することなく確保できる」点にあります。無印版では どんな方法であれ、攻略戦の際に破壊された飛行場は回復を待って使用できるようになっていましたが、PKでは、この「上陸部隊による占領」以外の方法で破壊した飛行場は消滅します。すなわち、金をかけて一から作り直しになるというわけです。
しかし、「上陸部隊による占領」によって破壊した飛行場は、攻略後、無印版のように回復を待って使用可能になるのです。これは、マラッカ海峡やハワイ沖のような、その後の防衛においても重要な海域においては非常にありがたいことです。(飛行場を新しく建造するには6週かかりますが、「占領」した飛行場は2週後には使用可能に)

このように、現実的な変更と非現実的な変更が入り混じったPK。爽快感は無印に劣る感がありますが、シミュレーションゲームとしての充実度、歯ごたえは格段に増したものになっていると思います。また、KOEIのPKといえばおなじみの追加シナリオも、史実・架空双方があり充実したものになっています。提督の決断Ⅳファンなら、買って損はないと言っていいでしょう。

いかん、予定よりはるかに長くなってしまっている。とりあえず本当の後編へ続く。 

P.S.―KOEI伝統のパワーアップキット商法って今流行りのダウンロードコンテンツ商法の先駆けみたいなもんだよなあ。 賛否は別にして、金になる方法を他社のはるか前から見出して実践していた、その商才には驚かされるわ。